フリーランスエンジニアの契約条件で注意すべきこと(準委任契約)

フリーランスエンジニアの業務委託契約は大きく「請負契約」と「準委任契約」に分けられます。
簡単に説明すると、「請負契約」は、成果物に対して報酬が支払われる契約で、「準委任契約」は、あらかじめ決めた時間だけ作業する(ほとんどの場合、仕事発注した企業に常駐)ことで報酬をもらい、仕事を完成させる義務を負わない契約になります。
「請負契約」の場合は、成果物に対して報酬ですので、エンジニアは修正を何度もさせられたり、仕上げたものが仕事を発注側の希望と全然違っていたりと、トラブルが多くあります。
ですので、こらからフリーランスになって新しく仕事を受注しようとしている人は、エージェント(フリーランス案件紹介サービス)の利用をおすすめします。

フリー
それまで付き合いのない人から「請負契約」をしたけど、うまくいかなかったというエンジニアの声もたくさん聞きますね。
先生
フリーランスになったばかりの人が、自分で契約を結ぶことは大変なことです。はじめはエージェントを利用して、企業との契約を任せたほうが安心です。

また、「準委任契約」でも契約条件をチェックしないと、思わぬ不利益を被ることがあります。
ここでは、エージェントを使った「準委任契約(企業常駐案件)」での契約の注意点を挙げていきます。

フリー
準委任契約でも注意しなきゃいけないことがあるんだね。
先生
エージェントもたくさんあるので、エンジニアがフリーランス案件を受注した時は必ず契約条件をしっかりと確認することが大切です。

フリーランスエンジニアが業務委託契約(準委任契約)する時のチェック項目

契約期間

準委任契約の場合、契約期間は必ず決められています。
長期案件の場合は、一般的に初回は1ヶ月、その後は1ヶ月もしくは6カ月といったことが多いです。

更新タイミング

エンジニア側も企業側も、長期案件の場合、急に契約を打ち切られたくはありません。
契約終了の1ヶ月程度前に、契約延長をするかしないかの確認をとることが多いです。
エンジニア側も企業側の双方で契約の更新をしたいという場合のみ、契約は延長されます。

報酬単価

報酬は月額で支払われることがほとんどです。
業務委託の場合、報酬に各種保険や年金、交通費等は含まれていないことが多いので、すべて引いたときにどれくらい残るかを計算しておく必要があります。
また、報酬額は税抜きか税込みかでも金額は変わってくるので、忘れずにチェックしておきましょう。
報酬はエンジニアのスキルによって変わってきますが、エージェント経由の場合、同じような案件でも報酬に差が出てくることもあります。
いくつかのエージェントに登録して、できるだけ良い案件を選ぶようにしましょう。

報酬イメージ

清算幅

清算幅というのは、月額の報酬をもらうのに、どれくらいの時間働けばいいかの範囲です。
週5日企業に常駐する場合は、月に140〜180時間という清算幅が一般的です。
ですので、月に140〜180時間の間で働いた場合は、一律で同じ報酬金額をもらうことになります。
月によって営業日は変わってきますし、企業によっても残業の有無の違いはありますが、実際稼働する時間は営業日×8時間が目安となります、

超過精算/控除精算

清算幅より稼働時間が多い場合はその分報酬がプラスされ、清算幅より稼働時間が少ない場合は、その分報酬がマイナスされます。

超過精算/控除精算には2種類の計算方法があります。

中割り(なかわり)

中割りとは、月額の報酬を清算幅の中間の時間で割ったものを時間単価にするものです。
報酬が月額60万円で清算幅が140〜180時間の場合、60万円を清算幅の中間である160時間で割った金額3,750円が時間単価になります。
ですので、月の稼働時間が190時間の場合は「超過精算」で10時間分プラスなので、600,000+37,500=637,500が支給額になります。
また、月の稼働時間が130時間の場合は「控除精算」で10時間分マイナスなので、600,000−37,500=562,500が支給額になります。

上下割り(じょうげわり)

上下割りとは、超過精算の場合は月額の報酬を清算幅の上限時間で割り、控除精算の場合は月額の報酬を清算幅の上限時間で割り時間単価にするものです。
報酬が月額60万円で清算幅が140〜180時間の場合、超過精算の場合は60万円から180時間を割った金額3,333円が時間単価になります。
一方で、控除精算の場合は60万円から140時間を割った金額4,285円が時間単価になります。
ですので、月の稼働時間が190時間の場合は「超過精算」で10時間分プラスなので、600,000+33,330=633,330が支給額になります。
また、月の稼働時間が130時間の場合は「控除精算」で10時間分マイナスなので、600,000−42,850=547,150が支給額になります。

フリー
上下割りだと、引かれる時多くて、加算される時は少ない金額なんだ。
先生
そうですね。中割りのほうがフリーランスエンジニアにとっては有利な契約といえます。

中割りと上下割によっても報酬は変わってきますので、意味も理解しておく必要があります。

勤務時間

勤務時間や休憩時間は契約条件に書かれています。(例/9:00〜18;00、休憩1時間)
企業常駐の場合、仕事を発注した企業の社員の人と同じ時間に働くことが多いですが、案件ごとに、早く来て作業したい場合や残業する場合のルールが違うので、必ず確認しておきましょう。
また、勤務時間の端数の時間管理が1分単位なのか15分単位かというのも、契約条件に記載していない場合は聞いておいたほうが良いです。

時間イメージ

報酬の振込み

給与振込日は大切なことなので、しっかり抑えておきましょう。
一般的には月末締めで翌月もしくは翌々月の指定日に、報酬が振り込まれることがほとんどです。
仕事を発注した企業とエンジニアの間にエージェントの数が多いほど、支払日が遅くなります。
ただ、下請法という法律で「役務が提供された日から起算して60日以内下請代金を全額支払う」ということが書いてありますので、締め日から61日以上後の支払いの場合はエージェントに確認しておいたほうが良いでしょう。

入場日

勤務開始日のこと。
社員ではないので、入場日という言い方をします。
社員からフリーランスになる人は、退職日以前の契約にならないよう注意しましょう。

以上、フリーランスエンジニアの契約条件で注意するべきことを挙げました。
特にはじめてフリーランスになる人や、フリーランスになって間もない人にとっては、わからない点も多いかと思います。
疑問点は登録したエージェントの担当者に、あらかじめ聞いておくことが大切です。